“読書”と“資格取得(今は司法書士)”と“音楽鑑賞”のメモ

 

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Posted on 16:04:24 «Edit»
2007
09/01
Sat

Category:読書〔社会科学〕

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人  香山 リカ 


 最初に言っておくが、私は江原さんが嫌いではない。『オーラの泉』も、楽しく見ている。というか、数年前深夜の番組で、素人女性相手にやっていたころの方がスキだったりする。
 霊能者ではなく、「スピリチュアル・カウンセラー」と名乗るあたりも、途方もないセンスの良さを感じし、オカルト的楽しみを抜きにしてもカウンセリング技術的に感心することが多い。単純に「あー、確かにこんなこと言われたら相談者は癒されるだろうな」と思う。
 そんなこんなで香山 リカ氏の“スピリチュアル”に関する本書の分析は興味深いものだった。話は江原さん中心だったが、もちろん、これに限定されていない。
本書で印象に残ったところ、考えたこと、頭を巡ったことを書きたい。

スピリチュアルと成功哲学のビジネス書の共通点

 “成功”第一のイケイケ自己啓発書は、得てして「ポジティブ・シンキング」を重視する。「物事、自分の考え方一つでどうとでもなる」「前向きに困難を乗り越えろ」と叱咤する。今の状況はあなたの選択と行動の結果であるのであって、だからこそあなたの意志で変えられる、という。
 「生まれたのは私の意志」「この家庭、この親のこどもとして生まれたのはあなたの意志」なのだといったら、こうした意志主義の極北にあると言ってもいいかもしれない。スピリチュアルの江原が、「あなたは前世で○○に失敗した。この世では修行するために今のあなたの親を選んだのです。」みたいなことを言っているのをTVで見たとき、自己啓発の「ポジティブ・シンキング」と同じ匂いを感じたのは偶然ではなかったようだ。

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)
スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)香山 リカ


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starやや独善的な議論が多いのでは?
star本当のスピリチュアルとは?
starまま、面白いんじゃないかな・・・と言いたいところだけど。
star「転生の秘密」も読んでもらいたいです!

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スピリチュアルとアダルト・チルドレンの対比

 本書で特に興味深かったのは、「生まれたのは私の意志」というスピリチュアル特有の徹底的に能動的な説明に対比させて、“アダルト・チルドレン”を引き合いに出しているところだ。
 日本におけるアダルト・チルドレン研究の第一人者として知られる信田さよ子氏は、アダルト・チルドレン(AC)を「現在の生きづらさが親との関係に起因すると認めたひと」と定義する。「自分に責任はない、親のせいだ」という自覚は、次のステップである「自分の背負うべき責任」に目覚めるためのひとつの通過点だと言う。
 スピリチュアルの出生の見方は、裏を返して親の視点からとらえると、「選ばれた親であるあなた、全部子供が選んだのだからあなたは悩むことはないというメッセージ」ともいえる。ACとの対比で言えば、「子のイノセンス」ではなく「親のイノセンス」を強調している。いわば「“アダルト・チルドレンの逆バージョン”」になる。

問題を脱社会化する「自己責任」

 私も最近江原との共通点を感じていた飯田史彦氏だが、彼はこんなことを言っているそうだ。

仮説 人生で直面するすべての事象には意味や価値があり、すべての体験は予定通りに順調な学びの過程なのである。

解説 このような仮説を人生を前向きに生きるための道具として活用すれば、すべての責任を自分に求めることによって、かえって「誰のせいでもないのだ」「自分はほかの人から被害を受けているわけではないのだ」「すべてのことは、自分のために起きている、順調な出来事なのだ」という、安堵感・納得感を得ることができます。
 このように考えれば、私たちの人生から、挫折や不運や失敗という言葉が、すべて消えてしまいます。(『生きがいの創造』)


 こんな心配が出てきても不思議ではない。

 「あの人のせいでひどい目にあった」と自分を棚に上げてすぐに他罰的に親や職場の上司を責める人もいなくなるかわりに、権力にとっては、何があっても異議申し立てをしない御しやすい人になってしまうのではないだろうか、と心配したくもなる。


 周囲の人間関係や会社のシステム、その先の社会や政治が悪いのではない。すべて、私が悪いのだ。私さえ変われば、この苦しみから解放されて癒されるはず。女性たちのそんな姿を見て、信田氏はこう思う。

 彼女たちの抱える問題や悩みはこのように個人化・心理化され、最後は「自己責任」へと回収されていくのである。


 ACの治療を通じて、「被害を与えた家族などの“加害者”の責任追及」を経て、「近代家族の歴史性や権力構造の認識という脱近代を目指す外向きの方向性」を目指してきた信田氏にとって、働く女性たちがいま、「私さえ癒されれば。もうちょっと自信が持てれば」と限りなく非歴史的で内向きな方向性しか持ち得ていない、という現実はかなりの衝撃だったようだ。


 自罰的に考えて一生懸命仕事に精を出してくれる従業員がいたら、そりゃ“使える”奴ってことになるわな。以前読んだ信田氏の『依存症』でもその点を別の視点から描いていた。

 巷で言われるように依存症の人たちは決して意思が弱い人たちなのではなくて、とことんまで意思の力を発揮し自分と戦った人たちなのである。それは繰り返しになるが資本主義社会が我々日本人に要請したことの忠実な実践なのであった。


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 以上から、二つの対比が頭の中を巡っている。
●「自罰的」「問題の個人化・心理化」「自己責任」「積極思考」→しばしば権力者に好都合な存在になる
●「他罰的」「歴史や権力の厳然たる存在の認識」「口先だけの啓蒙主義」「消極的思考」→しばしば権力者に不都合な存在になる
 両者のバランスが問題なのだと思う。
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