“読書”と“資格取得(今は司法書士)”と“音楽鑑賞”のメモ

 

Planned Happenstance 〈偶然〉=〈必然〉

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Posted on 15:51:21 «Edit»
2007
02/12
Mon

Category:読書〔人文科学〕

生き延びるためのラカン 


 本書はWeb上の連載を基にしている。私はそれを読んでいた。Webでしかも無料で閲覧できるものとしては珍しくクオリティが高く、また、ためになるものとして驚いていた。それがとうとう本になったのだ。
 「日本一わかりやすいラカン入門をめざそうと思う」という著者の目標は達成されていると思う。“生き延びるため”というタイトルもいい。生死が問いの射程にない思想なんて存在意味がないから。実際、“生き延びるため”にラカンを使う、そんな力と視点をもらえそう。

生き延びるためのラカン
生き延びるためのラカン斎藤 環

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 ラカンにはそんなに興味はなかったが、ジジェクが好きな私は何かと間接的にラカン精神分析の思想には触れている。ジジェクの独特の言葉、言葉の使い方の多くがラカン由来のものであることは感づいていたが、この本を読んでそれがよりハッキリした。
 この辺りは基本的な話だろうけど、ちょっと感動した。すっきりした説明だ。

・・・子どもはペニスの象徴(=ファルス)を作り出すことで、母親=世界におけるペニスの欠損を補おうとする。これはしかし、ペニスの実在性をあきらめて、その模造品で満足しようという、大きな方向転換を意味している。だから、象徴を獲得するということは、存在そのものの所有はあきらめる、ということと同じことを意味しているんだ。
 このあきらめのことを「去勢」と呼ぶ。そう、ペニスをとっちゃうことだね。エディプス期における「去勢」こそが、人間が人間になるための、最初の重要な通過点なんだ。ここをくぐり抜けることで、子どもははじめて言語を語る存在、すなわち「人間」になるんだから。


 こういうの読むと、より言葉巧みになるには、もしくは、より大人になるには、より去勢されればいいのかな、なんていう技術論を想像してしまう。しかし、精神分析は後付けの説明体系でしかないことを著者も言っていた。私の手前勝手な思惑に反して、去勢の過程も「常にすでに」そうなってしまっているものなのだろうから、この過程を意図的にコントロールすることはできないのかもしれない。“Planned Happenstance”ならぬ、“Planned Kyosei”っていうわけにはいかないかな。

 それにしても、この「去勢」は私にとって魅力的だ。私を魅了するジジェクの軽妙でトリッキーな語り口は、「対象a」や「去勢」を巡る事件をドラマティックに演出する。そしてそもそも、「象徴界」「想像界」「現実界」は位相関係にあるという。ということは、常に私たちは去勢の前段階にあり、且つ後段階にあるということになるはずで、私たちはいつもこのドラマティックな物語の主人公であるわけだ。楽しい。なんか違うかな?
 ところで、今出てきた“対象a”の説明はこんな。わかりやすし、「今」的。

・・・「自分だけは特別」という幻想に浸っているとき、人はすでに対象aの作用のもとにある。ある意味、現代くらい「自分は特別」幻想が強力な時代はなかったかもしれないね。じゃあ、ここでは何が「対象a」の位置にあるのか? それはおそらく「本当の自分」ってやつだろう。「『本当の自分』を探すことができる」という可能性が、「自分探し」やら「癒し」やらへの欲望や、「自分は特別」幻想を生み出しているんじゃないかな。こんなふうに対象aは、欲望の原因でもあると同時に、いろんな幻想を生み出す力もあわせ持っている。


 とにかく本書は、わかりやすく、共感を持って読める。何だかまたジジェクが読みたくなってきた。『斜めから見る』とか『快楽の転移』とか。ラカン自身は難し過ぎるし、どうも敬遠してしまうけど、彼の“子ども”たちの本は刺激的で、面白いな。
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テーマ: 壊れそうな心

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